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市民健康講座

第331市民健康講座 (H30年11月9日)

テーマ高血圧と心臓病
講 師大阪府済生会千里病院 循環器内科主任部長 廣岡 慶治 先生
開催日時2018年(H30年)11月9日

 高血圧は日本人に最も多い病気で、国内に約4300万人の患者がいると推測されています。 血管に大きな負担をかけ、硬く、もろくなる「動脈硬化」の発症、進行を早め、脳卒中や心筋梗塞など様々な病気を起こす原因になります。自覚症状がほとんどないため、サイレントキ ラー(静かな殺し屋)とも呼ばれ、長い時間をかけて動脈硬化を進行させます。心臓が収縮して血液を送り出す時の血圧を収縮期血圧(最大血圧)、心臓が拡張した時の血圧を拡張期血圧(最小血圧)と呼びます。血圧を評価する方法には、①病院などで測る診察室血圧、②自宅で測る家庭血圧、③病院で特殊な機器をつけて血圧を測る24時間血圧の三つがあります。通常、病院に行くと緊張して血圧が上がることが多いため、家庭血圧は診察室血圧より5mmHg低く 設定されています。季節によっても違いがあり、寒い冬の方が夏よりも血圧が高くなります。日本高血圧学会のガイドラインでは、収縮期血圧が140mmHg以上または拡張期血圧が90mmHg 以上だと高血圧と診断され(家庭血圧値では135/85mmHg以上)、血圧が高いほど、脳卒中や心筋梗塞にかかる危険度が高くなります。また、130~139/85~89mmHgは「正常高値血圧」に分類されますが、糖尿病や慢性腎臓病、臓器障害、心血管病を持っている方は「高リスク」であり、正常高値血圧であっても降圧薬治療を必要とする場合があります。さらに、高血圧には診察室の測定では基準を下回っても、早朝や夜間に、あるいは職場で血圧が上がる「仮面高血圧」というタイプの人がいます。このタイプは、脳卒中や心筋梗塞になるリスクが
2~3倍高いとされています。こうしたタイプを見分け、本来の血圧を知るのに重要とされているのが家庭血圧です。日本高血圧学会は、家庭で使う血圧計として、上腕に巻いて測るタイプを勧め ています。朝と夜の2度、朝は起床後1時間以内で朝食や服薬の前、夜は寝る直前に測ります。トイレを済ませ、いすに座り、1~2分安静にしてから2回測ります。高血圧の治療には食事や 運動、飲酒、喫煙といった生活習慣の改善が有効です。塩分をとる量が増えると血液量が増えて血圧が上がるため、食事は減塩が基本です。また、塩分を排出しやすいカリウムを多く含む野菜や海藻をとりましょう。それでも血圧が高いようであれば薬による治療が必要なため 「かかりつけ医」に相談して下さい。 

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