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市民健康講座

第318市民健康講座 (H28年9月5日)

テーマ急性心筋梗塞の前兆と予防 STOPMIキャンペーン
講 師国立病院機構大阪医療センター 循環器内科 科長
 日本循環器学会 循環器救急医療・災害対策委員会
 STOP MIキャンペーン ワーキンググループ長
 上田 恭敬 先生
開催日時2016年(H28年)9月5日

 急性心筋梗塞で入院する患者数は年間約69000人で、入院後に死亡するのは約6000人であり10%以下です。ただし、年間約40000人が心筋梗塞で死亡しており、その多くが入院する前に死亡しています。そのため、心筋梗塞は一旦発症すると約40%が死に至る非常に怖い病気と言えます。 心筋梗塞は、心臓の筋肉に血液を送る血管である冠動脈の動脈硬化によって、その血管壁に油が沈着してプラークと呼ばれる病変ができます。プラークがニキビのように破裂して、その中身が血液と触れ合うことによって血栓(血の塊)が形成され、最終的に冠動脈が閉塞すれば心筋梗塞が発症します。しかし、プラークが破裂してから発症するまでに数日?数週間を要することもあり、 その間に心筋梗塞の前兆とも言える狭心症症状が出現することがあります。実際に心筋梗塞で入院した人の約50%でこの前兆を経験しています。この前兆の時点で診断して、適切に治療すれば、心筋梗塞の発症を予防できます。そのための市民啓発活動が「STOP MI キャンペーン」です。 前兆は、典型的には「胸痛、胸部圧迫感、胸部絞扼感、胸焼け、心窩部不快感」といった心筋梗塞と同様の症状ですが、持続は数分から10分程度と短いのが特徴です。ただし、針で刺すような痛みとか瞬間的?数秒程度の症状は違うことが多いです。今まで経験のない、このような症状が繰り返し現れる場合には、心筋梗塞へ移行する危険性が高い前兆の段階が疑われます。心筋梗塞で命を落とさないためには、間違っていてもよいので、少しでも前兆を疑えば、早急に循環器内科を受診して精査を受けてください。 前兆がある場合にも、心電図、血液検査、心エコーなどでは異常がないことも少なくありませんが、冠動脈CTや心臓カテーテル検査によって診断することが可能です。

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