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市民健康講座

第313市民健康講座 (H27年11月11日)

テーマ日常生活を支える こんな工夫と運動はいかがですかぐ
講 師森ノ宮医療大学 保健医療学部 理学療法学科
 教授  金尾 顕郎 先生
開催日時2015年(H27年)11月11日

 心臓リハビリテーションという言葉があります。リハビリテーションと聞いて、すぐに運動を連想しますが、実は運動の他に、食事(塩分、脂肪分、水分の管理)、禁煙、1日の効率の良い生活様式や姿勢の取り方などがあり、服薬も含め、心臓病の再発予防、生活の質(QOL)の向上、生命予後の改善を目指すことです。
1.運動療法 1)運動の効果 毎日運動を行うことで、運動耐容能の向上、狭心症発作や心不全症状の軽減、同じ強さの運動をしても、呼吸数や心拍数が減少し、血圧のコントロールに役立ちます。1999年の報告では、慢性心不全に対する運動療法の予後効果において、運動療法を行った群(50例)では、しなかった群(49例)に比べ、3年間で心臓死を23%、心不全再入院率を19%有意に改善させたとあります。また、2004年に行われた6年間の追跡調査では、心筋梗塞後に回復期運動療法を行った群が行わなかった群より、死亡率が56%減少、再発は28%減少したとの報告があります。そして、心臓そのものについて、運動療法は、心臓を収縮しやすくし、多くの血液を駆出できるようになり、より運動能力を高めることも確認されています。 2)運動の種類と方法 ・ストレッチング   身体の肩甲帯、体幹、骨盤・股関節周囲の筋肉をゆっくりと伸ばすことで、少ない酸素で有効に動作が可能になります。 ・有酸素運動 持久性の向上を目的として、運動導入時の早い時期から行います。弱い抵抗で、繰り返し行う運動で、予測最大心拍数(220-年齢)の50~70%が強さの目安です。そこまで運動ができなければ、インターバルトレーニングを行い、運動時間の延長を図ります。 ・抵抗運動(レジスタンス・トレーニング) 有酸素運動に比べて、敬遠される傾向にあり、運動として導入される時期は遅いですが、適応と禁忌を守って行えば、筋力・持久力の向上、除脂肪体重の増加(体脂肪の減少)、血清脂質や糖代謝インスリンの感受性改善などがみられます。
運動は、気分のすぐれない日、暑い日、寒い日には注意して、毎日短時間で良いので、定期的に行いましょう。目安は、1日30~60分(何回かに分けても結構です)、少なくとも週3日以上行うことが肝心です。1週間分を1日でするなど、かためて行うことは禁物です。運動の強さは、「中等度」から「ややきつめ」が良く、運動しながらお話ができる程度が良いでしょう。
2.日常生活
1)日常生活の基本
・減塩:食塩は1日6gまでが原則です。食塩の取りすぎは、血圧をあげ、体内の水分排出を妨げます。これは心臓に大きな負担をかけます。
・水分管理:心臓の機能が低下している状態で、多量の水分を取ると、体内の血液量が増加し、心臓に負担をかけます。水分を多く含む食べ物には注意をしましょう。アルコールも水分のうちです。水分の摂取量は、主治医の先生に相談しましょう。
・喫煙:タバコには、ニコチン・タール・一酸化炭素など有害物質が含まれており、血管を収縮させ、血圧が上昇し、血液の粘りがまして血管内の血液を固まりやすくします。必ず禁煙することが必要です。
2)日常生活の工夫
 日常生活の工夫により、心臓に負担をかけないで行えます。楽な衣服、身体的・精神的リラクセーションの体得、呼吸に合わせた動作法の体得、疲れたらすぐに休む(action rest rhythm)、無駄な動きを省いた動作方法、環境を整備し動作効率の向上などが基本です。以下に代表例をあげます。
・荷物を持ち上げる力を入れるときに息を吐き、休んでいるときに吸いましょう。しゃがみこみ、荷物をからだに近づけ、脚の力で持ち上げましょう。息を止めて力を入れることは、心臓に負担をかけ、息切れや腰痛の原因にもなります。
・歩行、階段昇降動作に呼吸を合わせるのではなく、呼吸に合わせて行います。1歩2歩(1段2段)で吸い、3歩4歩5歩6歩(3段4段5段6段)で息を吐くようにして、リズムにのって行いましょう。
・入浴  
 入浴は、想像以上に心臓に負担をかけます。以下に注意事項を記載します。
 ①38~40℃のぬるま湯で、10分間程度。
 ②すぐに湯船に入らず、シャワーやかけゆで徐々にからだを温めましょう。
 ③浴室の温度を上げてから入りましょう。
 ④入浴後、からだを冷やさないようにしましょう。
 ⑤飲酒後の入浴は厳禁です。食後1時間以内の入浴も避けましょう。

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