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看護セミナー

平成28年5月21日(土)看護セミナー

テーマ「高齢慢性心不全患者へのアプローチ」
担 当関西医科大学内科学第二講座  塩島 一朗 先生

 2016年5月21日に関西医科大学枚方学舎1階加多乃講堂において88名の参加者を迎え看護セミナーを開催いたしました。今回は「高齢慢性心不全患者へのアプローチ」をテーマとしました。 社会の高齢化や虚血性心疾患に対する治療の進歩に伴い高齢の心不全患者が増加しています。今回のセミナーでは管理栄養士、臨床心理士、健康運動指導士、看護師、医師、とさまざまな職種の方からそれぞれの立場で高齢心不全患者さんにどのように向き合うかについてご講演いただきました。  管理栄養士の吉内さんからは、「高齢心不全患者の栄養管理」と題して、栄養管理の観点から心不全患者さんの指導をどのようにおこなうかについてお話しいただきました。高齢心不全患者さんでは特に良質の蛋白質を中心に十分な栄養を摂れるようにすべきであることを教えていただきました。臨床心理士の藤井さんからは、「心不全患者の心理傾向について」と題して、タイプDパーソナリ ティや抑うつ傾向を中心に心不全患者さんの性格や行動様式についてお話しいただき、心不全の病態だけでなくその背景にある心理的な要因に介入していくことの重要性を認識できました。健康運動指導士の高尾さんからは、「高齢者心不全患者の運動療法」と題して、高齢者心不全患者さんに運動療法を進めていく上での注意点について実例を交えながらお話しいただきました。入院中だけでなく退院後も運動療法を継続していくことの重要性が実感されました。慢性心不全看護認定看護師の大北さんからは、「看護外来における心不全患者支援」と題して、心不全看護外来における実践報告をしていただきました。医師による短時間の外来のなかではなかなか実行することが難しいきめ細かな患者ケアの具体例についてご紹介いただきました。最後に特別講演として健康科学センター教授の木村先生から、「心不全とサルコペニア」と題して、心不全患者さんにおける骨格筋萎縮・筋力低下についてお話しいただきました。高齢者では骨格筋の萎縮とそれにともなう筋力低下(サルコペニア)が問題となっていますが、サルコペニアが心不全の病態にも影響を及ぼしていることについて、基礎的な側面も含めて紹介いただきました。今回のセミナーを通して、心不全患者さんの治療をおこなうには、心臓だけを見ていては不十分であり、さまざまな観点からの多面的アプローチが重要であることを再認識できました。  最後になりましたが、セミナー開催にあたり、講師の方々をはじめご協力いただいた関係各位に心より御礼申し上げます。