テーマ | 「重症心不全患者の看護を考える」 |
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担 当 | 大阪大学大学院医学系研究科循環器内科学 坂田 泰史 先生 |
2015 年 5 月 16 日に大阪大学吹田キャンパス内の銀杏会館において、169 名と非常に多くのご参加をいただき、看護セミナーを開催させて頂きました。
今回のテーマは、「重症心不全の治療と看護」として、心不全の中でも重症例における治療と看護について取り上げました。
まず、「看護師に知って欲しい重症心不全治療の現状と問題点」と題した基調講演を大阪大学医学部附属病院循環器内科 木岡秀隆先生よりご講演いただきました。stageDを中心とした重症の捉えかた、およびその治療方針と現在抱える問題点について解説があり、補助人工心臓によるdestination therapyの可能性についてなどの紹介がありました。次に、「当院における重症心不全患者への看護の実際」と題し、大阪大学医学部附属病院看護部 会田絵理子看護師より多数の重症患者を抱える大阪大学医学部附属病院における看護の実践報告をして頂き、心臓移植待機患者の抱える葛藤や繰り返す再入院に対する心不全手帳および情報収集シートを用いた介入の試みが紹介されました。
最後に、大阪大学医学部附属病院看護部 増田容子看護師から『末期心不全患者の緩和ケアに関する一考察』として、心不全入院を繰り返し、最終的に緩和ケアに移行した重症心不全症例の提示があり、姫路循環器病センター看護部 田中奈緒子看護師、淀川キリスト教病院看護部 猪之奥香織看護師、大阪大学医学部附属病院看護部 清原奈緒看護師らコメンテーターを中心に、緩和ケアを考える上で重要な病状理解や目標設定に難渋する状況において、患者の希望、医学的な要素、社会的な要素に対する医師、看護師のそれぞれの視点から見た考え方についての討論が交わされました。 会場にはコメンテーター以外にも多くの慢性心不全認定看護師の方々も参加されており、それぞれの施設における取り組みや同様の症例経験などが紹介され、活発な意見交換により重症心不全、末期心不全患者における問題点が再認識されました。これらの問題点を解決すべく今後の研究への発展が期待されるところであります。 今回のセミナー開催に当たり、ご尽力くださいました多くの関係者に、この場を借りて深謝を申し上げます。