テーマ | 「心不全に対する緩和療法について」 |
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担 当 | 大阪医科大学 循環器内科 専門教授 星賀 正明 先生 |
(公社)大阪ハートクラブ看護セミナーを、2019年5月18日(土)に大阪医科大学看護学部 講堂で開催した。今回は、テーマを「チーム医療における心不全緩和ケア」とし、20施設73名の参加をいただいた。 まず、昨年4月から末期心不全に対する緩和ケア加算が算定されるようになった事を紹介し、 当院での取り組みを緩和ケア専門医桑門 心先生より報告いただいた。 第1部では、末期心不全の事例を題材として、多職種によるラウンドテーブルディスカッションを行なった。兒島理沙慢性心不全看護認定看護師が進行役になり、循環器内科医の坂根和志先生、 デバイスに関わった心臓血管外科医の森本大成医師、長?美奈子緩和ケア認定看護師・がん看護専門看護師、心臓リハビリテーション担当の原田靖章理学療法士、平澤有美子管理栄養士がそれぞれの立場から、事例への関わりとチーム医療の重要性を話した。各医療者が患者本人や家族の思いを、様々な機会を通じて拝聴し、チームとして情報共有していく過程が時系列で示された。会場から 緩和ケアチームを立ち上げ時の工夫について質問があり、事例をチームで取り組んでいく重要性が共有された。 第2部では、姫路循環器病センター大石醒悟先生に「チームで取り組む心不全の緩和ケア」の 御講演をいただいた。まず緩和ケアチームはコンサルテーションに特化する事、チーム内で信念が対立する場面では定義を共有した上で、得られた実践知を共有し各職種の専門性を加えるのが鍵と述べられた。次に心不全の緩和ケアはStage Cから考慮に入れていくべきで、ACP(アドバンスケアプランニング)の重要性を示された。ACPでは、代理意思決定者の選定や専門職者と話し合うプロセスそのものが大切で、実践の場面ではask→tell→askというアプローチを教えていただいた。 うまくいかない場合には最初のaskが欠けている例が多く、シビアな病状説明(tell)の前に、患者・家族の思いをaskにより表出してもらうと良い。自験では在宅看取りになった例も多く、退院前 カンファレンスでACPを実践されていることを話された。今後は、地域とのネットワーク作りが 重要であると締めくくられた。 最後に、大阪医科大学附属病院中山サツキ看護部長から閉会のご挨拶をいただいた。今回の開催に際し、多くの方々にご尽力いただきました。この場をお借りして深謝申し上げます。