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市民健康講座

第344回市民健康講座 (2022年5月18日)

テーマビックデータ、吹田スコアから見た循環器疾患、認知症の予防
講 師国立循環器病研究センター 予防医学・疫学情報部 部長
 西村 邦宏先生
開催日時2022年(R4年)5月18日

 日本では介護保険の提供が高齢化に伴い激増していますが、そのうちの22%が脳卒中、循環器の疾患になります。ついで認知症が18%、高齢による衰弱(フレイル)が次いでいきます。我々の 研究では2050年には年間25万人の方が心不全を発症すると予測しています。 心臓の病気、特に狭心症、心筋梗塞と脳卒中などはリスクファクター(危険因子)とよばれるものがいくつか挙げられます。
 主なものとしては、年齢、たばこ、糖尿病、脂質異常症(高LDL血症)、高血圧が大きなリスクとなり、それぞれの要因がある人はない人の2-3倍病気を発症する確率が高いです。 国立循環器病研究センターでは約30年間5千人の人を長期追跡する吹田研究というコホート研究を行い、そのデータからこれらのリスクに点数をつけて合計した点数から10年後に心筋梗塞を起こす確率を計算する吹田スコアを開発しました。この時注意しなければいけないことは、リスクが2つ以上の時は足し算ではなく掛け算で増えていくということです。例えば、たばこを吸っていて、コレステロールが高く、糖尿病の人は9倍ではなく27倍心筋梗塞をおこしやすいのです。脳卒中ではこれに加えて心房細動という不整脈があると4倍程度増加します。
 日本の食事は欧米にくらべて、ヘルシーでそれに伴って、発症率は欧米の半分だとして、日本の和食は海外でも注目を集めています。ただお醤油などを多く使うため塩分が多いことだけが欠点として知られています。それを改良するにはだしを良く効かせることでうまみを増やしておいしく減塩していただくことが可能です。詳しくは国立循環器病研究センターのかるしおレシピとして本が出版されていますのでご参照ください。
 このような心臓、脳卒中のリスクとなる生活習慣病は同時に認知症のリスクとしても知られています。認知症の一歩手前の経度認知障害から認知症へ進むことを高血圧、糖尿病、脂質異常などのリスクをコントールすることで40%減らせることが海外の研究で報告されています。またよく歩く方は認知症になりにくいことも知られています。 皆さんのリスクファクターをコントロールしていただければ、心臓病、脳卒中、認知症の予防につながり、健康寿命の延伸につながりますのでがんばってください。

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