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市民健康講座

第298回市民健康講座 (H25年5月22日)

テーマ健やかな長寿を目指して
講 師森ノ宮医療大学 大学院保健医療学研究科 教授 青木 元邦 先生
開催日時2013年(H25年)5月22日

 日本は世界に先駆けて超高齢化社会に突入しました。社会構造やしくみの改変が必要であることはもちろんですが、高齢者一人一人が質の高い豊かな老後を過ごすことが何より大切です。寝たきりや生活制限から解放された、生活の質が保たれた健やかな長寿は万人の願いです。
老化から死に至る過程を考えた時、「血管」という臓器は極めて重要な役割を果たしています。それは早老症や日本人の死亡原因からも明らかで、「人は血管とともに老いる」という言葉通りです。すなわち動脈硬化を制圧することが、健やかな長寿を過ごすための最大のキーワードと言えます。そのためには生活習慣病を制圧し、しなやかな血管を保つことが重要です。高血圧・糖尿病・脂質異常症は動脈硬化を進展させる危険因子であり、これら自体に大きな症状はありませんが、放置することにより、重篤な心血管病を引き起こします。遺伝的な素因もありますが、生活習慣の改善で予防はある程度可能です。
本講演では生活習慣病として高血圧に焦点をあて、その成因・遺伝子レベルでのアプローチ・生活習慣からのアプローチ・薬物治療のアプローチなどを概説し、またワクチン療法など難治性高血圧に対する新たな取り組みについても紹介します。さらにもうひとつの重要な危険因子「肥満」にも言及し、肥満を基盤とするメタボリックシンドロームの病態についても概説し、そのメカニズム・生活習慣における注意点を紹介します。
また、最後に動脈硬化性疾患に対する先端医療の可能性について演者の研究内容から、虚血性疾患に対する血管再生療法の可能性について概説します。動物実験での効果や、ヒト臨床研究の結果から、各種虚血性疾患に対する血管新生因子を用いた遺伝子治療・分子治療の可能性について言及します。