テーマ | 心臓を救う医療機器のお話 ~AEDなど除細動器を中心に~ |
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講 師 | 大阪国際がんセンター 臨床工学技士 木田 博太先生 |
開催日時 | 令和 6 年3月13日(水)午後2:00~3:30 |
心臓をサポートする様々な医療機器について説明を行った。まずショック状態の心臓をサポートする急性期治療の医療機器としてImpella🄬、IABP(大動脈バルーンパンピング)、ECMO(体外式膜型人工肺)が使用されている。Impella🄬は最新の機器であり、心臓内に小型ポンプ付カテーテルを留置することで、心臓をサポートするシステムである。IABPやECMOはショック状態の心臓を機械的にサポートするシステムである。コロナウイルス関連の重症肺炎に対しては、肺へのサポートを重視したECMOシステムが多数使用された。
次に心臓の収縮や拡張には電気の流れが関与している。こうした心臓を電気的にサポートする機器として、心臓植込みペースメーカや植込み型除細動器がある。ペースメーカは脈が遅くなる不整脈が、植込み型除細動器は心室細動などの致死的な不整脈が適応となる。こうした機器の進歩も大きく、リード線がなく直接心臓に留置するリードレスペースメーカや、皮下植込み型除細動器、自宅にて機器の異常が検知可能な遠隔モニタリングシステムが導入されている。
致死的な不整脈の代表が心室細動である。心室細動では、心臓が無秩序に興奮してポンプ機能を失い、心停止となる。こうした心室細動の治療として、除細動(電気ショック)がある。除細動は、心室細動などの不整脈を正常なリズムに戻すための処置で、心臓に高電圧を与えて電気ショックを行う。こうした心停止時は、まず胸骨圧迫(心臓マッサージ)を行い、脳へ血液を送るための一連の心肺蘇生が非常に重要となる。更にアメリカ心臓協会のガイドラインでは、心停止発見後5分以内の除細動が推奨されており、そのためにもAED(Automated External Defibrillator、自動体外式除細動器)の使用が重要となる。AEDは携帯用の医療機器で、音声ガイダンスと自動解析を行うことで、非医療従事者が使用できるように設計されている。心臓のリズムを自動解析し、必要に応じてショックボタンを押すように指示することで、電気ショックを行う。AEDを使用する際は、音声ガイダンスが聞き取れるように周囲に注意喚起を行ったり、ショックボタンを押す際は傷病者に誰も触れていないことを確認するなど、それぞれの行動も重要となる。