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市民健康講座

第328市民健康講座 (H30年5月14日)

テーマその症状、心不全かもしれません。心不全を防ぐには?
講 師大阪大学大学院医学系研究科 循環器内科学
 医学部講師 大谷 朋仁 先生
開催日時2018年(H30年)5月14日

 心不全は、年々その罹患数が増加し、年間に20万人以上の人が入院による治療を必要としています。
また、高齢になると罹患率が増加し、80歳を超えると約10人に1人は罹患しているとの報告もあります。そんな、心不全にならないようにするには、または、心不全になった後に悪くならないようにするには、まず心不全というものをよく知ることが重要です。心不全とは、さまざまな心臓の病気により心臓のポンプ機能が障害され、 むくみや息切れといった症状がでるものです。似たような症状は心不全以外でもあり、例えば、むくみは腎臓や肝臓の病気でも生じますので、そのような症状があれば、病院での検査が必要になります。心不全は進行性であり、心不全にはStage Bと呼ばれる前段階があり、心機能の低下を言われたら、症状がなくても約10年の間に半数の人が心不全を発症するとの報告もあります。また、一度心不全になり、治療によって症状がなくなって治ったように感じても、実際には、増悪と改善を繰り返しながらだんだんと進行していく経過を辿るということを認識しておくことが重要です。そのためには、心不全発症の誘因についても知っておくことが重要で、誘因には塩分・水分過多や感染、内服中断などがありますが、日常の注意により予防できる部分もあります。市販のおにぎりやラーメンなどの実際の食品に含まれる塩分量などを知っておくことも重要です。また、食塩感受性と 呼ばれる、摂取した塩分の反応性、体からの排泄能には人により違いがあり、食塩感受性ダールラットなどの知見からは、食塩を多く取り始める時期により体の反応性が違うことなどもわかっています。腎臓の機能や糖尿病、肥満などでも食塩感受性は変わります。 感受性を実際に評価することは難しいのですが、夜にトイレの量が多い人は、もしかしたら、塩分の摂取量が多いか、排泄が低下している可能性があるので注意が必要です。さまざまな点に注意していても、進行して重症になってしまった場合には、心臓移植や補助人工心臓治療などの高度な治療があります。これらの先進的な治療は日々進歩していますが、いまだに多くの課題が残っています。
 以上、心不全について、その症状や徴候、進行性である経過や引き金となる誘因などを知り、日々の生活における注意が重要であることをお話しさせていただきました。  

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