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市民健康講座

第326市民健康講座 (H30年1月24日)

テーマ虚血性心疾患における最新の治療 ~カテーテル治療と薬物治療の役割~
講 師近畿大学医学部 循環器内科 医学部講師  上野 雅史 先生
開催日時2018年(H30年)1月24日

 欧米各国に比べると、日本では虚血性心疾患は少ないが、高齢者人口の増加につれて患者数は増えつづけ、現在では三大死因の一つになっている。虚血性心疾患は安定狭心症と急性心筋梗塞を代表とする急性冠症候群に大別され、安定狭心症に関しては近年、薬剤溶出性ステント(DES)の登場により再狭窄の問題が改善され、第一世代DESで懸念されたステント血栓症に関しても第二世代DESの登場でこれまでのベアメタルステントよりも少ないことが報告されており治療に関しては大きく進歩してきた。しかしながら、急性心筋梗塞に関しては治療が進歩した現代においても、14%は病院に搬送される前に心停止で死亡していることが報告されており、急性期死亡率(発症から30日以内の院内死亡率)に関しても1970年代の20%程度から、最近は6%程度と改善は認めているものの依然として致死性の高い疾患である。
 そのため、一般市民に虚血性心疾患の症状とはどのようなものであるかの理解を深めてもらい、発症してから出来るだけ早期に病院を受診し、再灌流療法を可能な限り早期に行い、梗塞サイズを小さくすることが決定的に重要である。また、血管内視鏡所見などからも分かるように、心筋梗塞の急性期の治療はカテーテル治療だけでなく、抗血小板療法や脂質低下療法などの薬物治療も非常に重要な役割を果たす。カテーテル治療自体はあくまでも対症療法であり、病気が治った訳ではなく、原因そのものである生活習慣病をコントロールすることによる急性冠症候群の発症ならびに再発の予防が最も重要である。
 今回の市民健康講座では、狭心症、心筋梗塞に関する病態を血管内視鏡所見などを加え、実際の症例を提示しながら、カテーテル治療のみではなく、薬物治療の役割、重要性について理解を深めて頂くように最新の情報を含めて解説を行った。

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