テーマ | 上手に減塩! 賢く脂質コントロール! 食事療法は楽しく美味しく |
---|---|
講 師 | 武庫川女子大学生活環境学部 食物栄養学科・食生活学科 准教授 福田也寸子 先生 |
開催日時 | 2016年(H28年)3月9日 |
ご病気を持たれていても、いきいきとした生活を送るために、日々の生活改善に取り組まれている患者さまは少なくないと思います。私ども臨床栄養学を実践する者は、昨今の食の安全問題や、健康意識をもって食を科学する観点から、患者さまの食事療法を適切な方向へ導くことが務めと 考えております。 循環器疾患の栄養管理をするうえで大事なことは、高血圧症を改善し、動脈硬化症を予防する適切な食事療法の実践です。日本動脈硬化学会は、「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2012年版」において、 エネルギー摂取量と身体活動を考慮して標準体重(身長(m)2×22)を維持するエネルギー量の適性化を行う、エネルギー産生栄養素バランスは、脂質エネルギー比率を20~25% 、 飽和脂肪酸を総エネルギーの4.5%以上7%未満、コレステロール摂取量を200mg/日未満に抑え、n-3系多価不飽和脂肪酸の摂取量を増やすことを示しています。炭水化物エネルギー比率は50~60%とし、食物繊維の摂取量を増やすことも大事とされています。食塩の摂取量は6g/日未満を 目標に、アルコール摂取を25g/日以下に抑えるように奨められています。日本高血圧学会が示す、「高血圧治療ガイドライン2014」でも同じく食塩の摂取量は6g/日未満を推奨しています。 これらの中で、血管を守るために、あえて気をつける点を強調するとすれば、減塩と脂質のコントロールと言えましょうか。減塩対策では、食品そのものがもつ旨みの利用、食品の鮮度、調理法の工夫、料理の温度や組合せ等、「薄味」でも美味しく、食べやすい献立を工夫する等の方法があります。脂質のコントロールでは、飽和脂肪酸を減らします。減らした分は、不飽和脂肪酸を、魚類、特に青魚やそれに含まれるn-3系多価不飽和脂肪酸を積極的に摂るようにします。飽和脂肪酸及びコレステロール摂取を減らすためには、脂身の少ない肉類を選び、肉類、乳製品、卵類の過剰摂取を避けるようにします。 私たちが普段食べ慣れている和食は、お米を主食に、山海の自然の食材である魚介類や大豆製品、野菜、海藻、種実、キノコが豊富に取り合されており、比較的低カロリー・低脂肪です。この和食を基本に、食塩を上手に減らし、脂質を賢くコントロールすることで、降圧や、脂質異常症の合併を防ぐ効果が期待できると考えられています。さらに、「正しいたべかた」を実践し、外食する場合は、「害食」とならないように気をつけることで、食事療法が楽しく美味しく継続できるのではないでしょうか。