テーマ | 狭心症 - 症状、予防、現在の検査と治療 |
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講 師 | 大阪医科大学 循環器内科 講師 鈴木 秀治 先生 |
開催日時 | 2014年(H26年)1月27日 |
<狭心症について>
近年我が国では動脈硬化性疾患が増加しています。心臓は全身に血液を送るポンプの役割をしていますが、この心臓の筋肉に血液を供給するのが心筋の外側を走る冠動脈であり、これが動脈硬化を起こして狭くなると狭心症、詰まってしまうと心筋梗塞です。冠動脈は造影剤を用いたCT scanでみることが出来ますが、最終的な検査はカテーテルを用いた冠動脈造影です。心筋梗塞の予後は重篤で、発症すると致死率は20%と非常に高く、そのほとんどは急性期に生じる不整脈を合併した例です。WHOの調査では、急性心筋梗塞による死亡例は80%が24時間以内で、その3分の2は病院到着前です。ちなみに専門施設のある病院到着後の死亡率は5~10%です。
<狭心症の治療>
狭心症の治療は、①保存的治療、薬物治療、②外科治療(バイパス手術)、③カテーテル治療にわけることができます。
バイパス手術は、冠動脈の狭いところはそのままにして、そこを飛び越して新しい血液の流れる道を作ります。具体的には胸の筋肉を栄養する動脈を用いたり、足の静脈を採取して使います。
一時的に心臓を止める場合は、人工心肺装置を使います。我が国のバイパス手術件数は近年増加しています。
カテーテル治療は細いカテーテルという管を使います。実際には手首や足の付け根の動脈を穿刺して行う遠隔治療です。レントゲン透視や造影剤を用いて、バルーンカテーテルで血管を広げたり、ロータブレーターで削ったり、ステントという金属を血管内に植え込んだりします。近年薬剤が溶け出すステントがあり、治療成績が向上しています。また将来は溶けて体内に金属が残らないステントも使えるようになる見込みです。
<狭心症治療の実情>
現在狭心症治療の実情は国によって大きな違いがあります。日本でも地域によって違いがあり、過疎地では十分な急性期治療は出来ていません。
<狭心症の症状>
狭心症の症状は様々ですが、否定的な症状があります。痛みの範囲が指先程度の狭い範囲の場合や、痛みの持続時間が数秒ならば、余り狭心症を疑いません。
<予防>
残念ながら狭心症を完全に予防することは出来ませんが、原因となる因子を減らす事で、狭心症になる確率を下げることはできます。日常で最も大事なことは食生活で、肉食よりも魚食の方が動脈硬化を起こし難いとされています。
<最後に>
出来れば一生動脈硬化疾患にならず、健やかに過ごして頂きたいと思います。そのためには、
やはり日々の予防が第一です。でももし狭心症になってしまったら、速やかに検査を受け、治療を受けて頂きたいと思います。現在日本は冠動脈疾患の急性期治療が世界一優れている国です。