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市民健康講座

第354回-市民健康講座(2024年1月19日)

テーマやさしいコレステロールのお話
講 師大阪医科薬科大学 循環器センター 
斯波 真理子 (しば まりこ) 先生
開催日時令和 6 年 1 月19日(金)午後2:00~3:30

1.身体の中の脂質のお話

 身体の中には脂質があります。血液中にも存在する重要なものとしては、トリグリセリド(中性脂肪)とコレステロールがあります。トリグリセリドやコレステロールなどの脂質は、水には溶けません。血液を介して運ぶためには、蛋白質と結合して、リポタンパクという形をとります。このリポタンパクは、密度、大きさに応じて、VLDL、LDL、HDLなどがあります。LDLが悪玉と呼ばれるリポタンパク、HDLが善玉と呼ばれるリポタンパクです。

2.コレステロールと動脈硬化

 血中のLDLコレステロールが高い場合、HDLコレステロールが低い場合、トリグリセリドが高い場合に、動脈硬化が起こりやすい状態になります。動脈硬化とは、動脈にコレステロールが溜まって細くなり、血液が十分に臓器に送ることができない状態を指します。心臓を養う動脈が詰まってしまうことを心筋梗塞、脳を養う動脈が詰まってしまうことを脳梗塞と呼びます。

3.コレステロールを下げて動脈硬化を予防しよう

 悪玉であるLDLコレステロールを下げ、善玉であるHDLコレステロールを上げるには、食事療法、運動療法、それでも十分に低下しない場合には薬物療法を行います。

(ア) 食事療法:食事中の脂質を減らすことにより、小腸でのコレステロールの吸収を抑えます。また、野菜を沢山摂ることにより、食物中の脂質を体外に多く排泄できます。

(イ) 運動療法:運動をすることにより、善玉であるHDLコレステロールを上昇することができます。1日30分~60分、1週間に3回以上、1週間合計180分以上、歩くなどの軽い運動をしましょう。

(ウ) 薬物療法:エゼチミブ、HMGCoA還元酵素阻害薬(スタチン)、陰イオン交換樹脂などが用いられます。現在、LDLコレステロールを低下する薬剤としては、スタチンが一番多く使用されています。

4.コレステロールに関わる遺伝のお話

 遺伝的にコレステロールが高くなる病気があります。家族性高コレステロール血症という病気です。家族性高コレステロール血症の患者さんは、若い時からLDLコレステロールが高いため、動脈硬化の進行が速く、心筋梗塞や狭心症を起こしてくる人が多いです。このような病気の患者さんは、なるべく早く診断を受けて、速やかに治療を受ける必要があります。

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