市民健康講座

第360回 市民健康講座(2025年1月24日)

テーマ心不全って言われたけれど・・・?                                               心不全と付き合っていく生活、みんなで一緒に考えましょう。
講 師三菱京都病院 患者支援科 医療ソーシャルワーカー 柏 慧美(えみ)先生
開催日時令和 7 年1月24日(金)午後2:00~3:30

色んなところで耳にする「心不全」。私が、家族が、急に診察室で「心不全です」と告げられたら。これからの生活はどうしたらいいのでしょう?なにを、どうして、誰に聞いたらいいのか、毎日の生活を軸に、福祉や介護の視点でいくつかのヒントをお話しました。

・心不全って何するの?

『心不全とは、心臓が悪いために、息切れやむくみが起こり、だんだん悪くなり、生命を縮める病気です』。心不全は、数年から十数年をかけてゆっくり進みます。心不全症状が出て、治療で治まっても、身体機能は元通りにはなりません。ハイおしまい!治りました!とはならない、長い右肩下がりのお付き合いとなる疾患です。また、高齢になる程、心不全の罹患率が高くなることが知られています。日本の高齢化率の上昇とともに、心不全の患者さんが増加すると予想されています。

・心不全とのお付き合いが始まりました

心不全とうまく付き合っていくことが大切、では具体的に、何をどうしたらいいのでしょう?生活の中で悪化を防ぐために、まずは悪化の要因となる増悪因子を知りましょう。入院中にはうまく管理ができていても、生活の中ではままならなくなることがあります。診察室ではぜひ、あなたの生活習慣や、ゆずれないことなどを教えてください。医療スタッフにヒントをもらいましょう。「お食事」、「疾患管理」、「お薬」、「運動/リハビリテーション」、「かかりつけ医」をキーワードに、生活の中での管理について考えましょう。介護保険サービスを利用して療養生活を支援してもらうこともできます。

・それでも「いつかのもしも」を考える

心不全は、だんだんと悪化と回復を繰り返すので、「今回も良くなるやろう」と、いつかのもしもが見えにくくなる患者さんが多いかもしれません。我が国の循環器疾患の死亡数は、癌に次いで第2位、その中でも心不全は循環器疾患の中で死亡数が一番多いと言われています。医療者でも予後を予測するのが難しいのが心不全です。だからこそ、自分ごととして「いつかのもしも」を今から考えていただきたいのです。

治療をどうするか、食べられなくったら?動けなくなったら?どんなケアを希望するか、療養中には様々な選択のポイントが出てきます。私たち医療スタッフは、病気や治療については専門家でも、みなさんの人生や考え方については全くの素人です。言いたい時、聞きたい時にはできないこともあります。あなたの意思を、私たちに、誰かに教えていただけたら、望まない医療やケアを避けることができるかもしれません。

・困った時はいつでも相談を

気をつけて生活していても、心不全症状がでたり、入院になったり、療養生活が上手く回らなかったりすることが往々にしてあります。そんな時は、みなさんの周りにいる誰かに「なんで?」と聞いてみて下さい。心不全、皆さんの人生最後までの長いお付き合いです。困ったときは、いつでもご相談ください。

心不全があっても、皆さんが、皆さんらしく生活を続ける、気いよう過ごすために、何が必要か。いい塩梅を、私たちは一緒に考えたいと思っています。今日お話ししたいくつかのヒントが、少しでもその一助になれば幸いです。ご清聴ありがとうございました。