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市民健康講座

第350回市民健康講座(2023年5月12日)

テーマ住み慣れた場所で生活を続けるために ~ ご自宅でおこなう心不全のリハビリ ~
講 師のぞみハートクリニック 理学療法士
井谷 祐介 先生
開催日時2023年5月12日(金)14:00~15:30

●心不全ってどんな病気
今、高齢の心不全患者さんが急増しています。心不全は、さまざまな心疾患がたどる終末像であり、「心臓が悪いために、息切れやむくみが起こり、だんだん悪くなり、生命を縮める病気」です。一度発症すると完治することはなく、再発を繰り返すことでどんどん進行していき、やがて難治性の心不全に移行し、入院・治療をしても症状の改善が乏しくなります。また心臓だけでなく「フレイル」の進行や身体機能が低下していき、通院が困難になったり、要介護状態に陥ったりと生活の質が大きく低下していきます。心不全が悪化・再発する要因は様々ありますが、塩分・水分制限の不徹底や薬の服用の不徹底、過労などの生活習慣に関連する要因が多いのが特徴です。生活の見直しをせずには、悪化・再発を予防することはできません。

●心不全の訪問リハビリ
心不全は生活の場で悪くなることが多いですが、入院や外来通院だけでは医療者側からは生活状況が見えないのが現状です。訪問リハビリでは、実際の生活の場に療法士が伺うことで、心臓に大きな負担をかけている生活の因子をより正確に把握することができ、安心安全にその人らしい生活を送れるように活動の仕方を提案・支援します。主な対象は心不全だけでなく加齢や他の病気、障害により通院が困難な方で、かつ医師により訪問リハビリが必要と判断された方になります。頑張り過ぎて
心臓に過度な負担をかけないように、また慎重になり過ぎてフレイルの進行や生活の質が低下させないように訪問リハビリを受けられないか、医師やケアマネージャーに是非、相談をしてみましょう。

●フレイルの予防
年をとって心身の活力(筋力、認知機能、社会とのつながり)が低下した状態を『フレイル』と
言います。フレイルが進行することで要介護状態に陥ると考えられていますが、完治しない心不全とは違い、早く介入して対策を行えば元の健常な状態に戻る可能性があります。フレイルの対策の一つに運動があり、ウォーキングは手軽で様々な効果が期待できる運動と言われています。1日5000歩程度のウォーキングと7.5分程度の速歩き(中強度の活動)を行うことで、心疾患や要介護・要支援状態の予防が期待できると報告されています。継続していくことが大切で、やり始めは時間や歩数を
気にしないことも続けるコツです。心疾患やフレイル予防のために是非ウォーキングに取り組んで
みましょう。

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