テーマ | チームで取り組む循環器医療く |
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講 師 | 大阪医科大学循環器内科 専門教授 医療プロフェッショナル支援室長 星賀 正明 先生 |
開催日時 | 2016年(H28年)5月13日 |
「血管を健やかに」「循環器疾患を防ぐ」「心不全を癒す」ために、循環器領域では多職種で行うチーム医療に取り組んでいます。
1) 心筋梗塞を防ごう
動脈硬化危険因子が重なったハイリスク群であるメタボリックシンドロームは、平成20年から開始された特定健診および保健指導がターゲットとする病気です。悪玉(LDL)コレステロールが高い方は、特定健診で軽んじられているわけではありませんので、注意が必要です。特に、家族性高コレステロール血症の方は要注意です。わが国では、この遺伝性疾患が、予想患者数の1%未満しか診断されていません。2親等以内の血縁者で、男性は55歳以下、女性は65歳以下で心血管病を起こされた方がいらっしゃると、この疾患の可能性があります。もう1点、喫煙は危険因子の中でも明確にリスク管理ができるものです。動脈硬化は、危険因子が内皮を障害して起こりますが、禁煙は内皮障害を早期に回復します。 心筋梗塞などの冠動脈疾患診療は、進歩の著しい分野です。例えば、冠動脈ステントの改良が進み、生体内で溶けて消失するステントなどが開発されています。ところが、ステントを植え込んでも、その後の生命予後を伸ばすことはできません。予後を明確に改善したのが、多職種で行う心臓リハビリテーション(包括的心臓リハビリテーションと呼ぶ)であったのです。
2) 心不全と心臓リハビリテーション
心不全は高齢化とともに増加の一途を辿り、現在わが国で100万人、2030年には130万人に増加すると予想されています。高齢心不全の特徴は、腎不全等他臓器合併症の併存、筋力低下による虚弱、認知症の合併などがあり、大きな問題点として浮かび上がります。さらに、独居・老々介護など社会的な面からのサポートが必要で、これらの解決には、病院内の多職種はもとより、ソーシャルワーカー、かかりつけ医、在宅リハビリなどを最大限に活用する必要があります。
3) チーム医療の教育
このように、チーム医療の質が、これからの循環器医療の成功の鍵になります。チーム医療を推進するために、学生教育から多職種連携を育むようなプログラムの導入を行っていることを紹介しました。