テーマ | 脳卒中を防いで、急いで、癒やす方法 |
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講 師 | 大阪大学医学部附属病院 脳卒中センター 神経内科・脳卒中科 医学部講師 坂口 学 先生 |
開催日時 | 2015年(H27年)3月13日 |
日本において脳血管障害(脳卒中)は年間124万人が罹患し、寝たきり患者の35%を占めて最も多く、年間12.2万人の死因となる国民病です。脳卒中には、脳を栄養する動脈が閉塞し、脳実質が壊死に陥る脳梗塞と、脳実質内の血管が破綻して出血する脳出血、主に脳表の血管にできた動脈瘤が破裂して出血するくも膜下出血の3種類があります。1960年代は脳出血が最も多く60%を占めましたが、現在では約70%を脳梗塞が占めています。これは、種々の降圧薬が開発され、血圧コント ロールがしやすくなってきているため脳出血が減っていることが一因で、このように予防措置がうまく行けば、脳卒中に罹患することを予防できます。を念頭に日常生活を送ることは、脳卒中の初発、再発を抑制するために非常に重要です①。また脳卒中の症状をよく理解し、発症した際には時を置かず脳卒中専門診療ができる病院に、救急隊を呼んで直ちに受診すると、脳梗塞の場合は詰まった動脈の再開通療法によって劇的に症状が改善する可能性があります。脳出血やくも膜下出血の場合にも、直ちに専門診療を受けると血腫の拡大や脳浮腫の進行を抑えたり、より重篤になる発症直後の再出血を抑えることで、予後の改善が期待できます。突然発症する片側の運動麻痺や発語障害、視野の障害、これまで経験したことのない激しい頭痛などを認めた場合には、すぐに救急要請することが重要です②。 一旦脳卒中に罹患し、早期治療にもかかわらず、運動障害などの神経後遺症が残ってしまった場合には、発症後3ヶ月間の回復期リハビリをしっかり受けることが、その後の機能回復にとって重要です。昨今慢性期のリハビリについても日進月歩で有効なリハビリ方法が開発されてきているので、気長に日々の運動機能維持に努めておくことが重要でしょう③。 これら3つの重要ポイントが、脳卒中を防いで、急いで、癒やす方法になります。(http://jsa-web.org/10/index.html)