市民健康講座

第364回市民健康講座(2025年9月5日)

テーマ心臓にやさしい生活できていますか?
講 師医療法人藤井会 石切生喜病院 小野 めぐみ先生
開催日時2025年9月5日(金)

 心不全とは、心臓のポンプ機能が低下し、全身に十分な血液を送れなくなる状態です。症状の悪化を防ぐには、薬の内服だけでなく、日常生活の工夫が重要です。以下に生活のポイントをまとめます。

1.食事・水分管理

塩分は体に水分をため込み心臓に負担をかけます。1日6g未満を目安にしましょう。調味料を減らす代わりに、かつおだしや柑橘類、香辛料を使うと、少ない塩分でも味に変化と満足感が得られます。麺類は汁を飲まず、茹で麺を選ぶと減塩に役立ちます。水分は医師の指示量を守り、体重やむくみに注意しましょう。

2.体のサインに気づく

毎朝、起床後に排尿を済ませてから体重を測定し、前日との差や1週間で2kg以上の増加がないか確認します。すねや足首を押してへこみが残れば「むくみ」のサインです。体重増加とむくみが同時に出れば心不全悪化の危険信号なので、早めに医師へ相談してください。

3.心臓にやさしい家事

掃除機は長いノズルを使い、腰をかがめすぎないようにしましょう。洗濯物は肩より高く腕を上げずに干せるよう竿の高さを調整すると心臓への負担が減ります。

4.入浴の注意点

入浴は38〜40℃のぬるめのお湯で短時間にとどめましょう。半身浴がおすすめで、全身浴より心臓への負担が軽くなります。シャワーノズルや椅子の高さを調整し、前かがみの姿勢を避けて、背中を洗うときはループつきタオルを活用するなど、体を洗う時に肘を中心として、動作を工夫すると上肢の過度な使用を避けられ、心臓の負担を減らせます。

5.在宅での運動

運動は、心臓を守るために有効です。有酸素運動を週3回30分以上行いましょう。ウォーキングや体操など、会話できる程度の強さが目安です。30分続けるのが難しい場合は、15分を2回に分けても効果があります。体調がすぐれない日は無理をせず休むことも大切です。

6.内服の工夫と注意点

心不全の薬は再発を防ぐために欠かせません。飲み忘れに気づいたら半日以内であれば服用し、半日以上経過していればスキップしてください。2回分をまとめて飲むのは危険です。薬が切れる前に受診し、自己判断で中止や増量をしないようにしましょう。お薬カレンダーやピルケース、内服処方の一包化を活用すると安心です。

まとめ

日常生活の小さな工夫と薬などの治療の継続が、心臓への負担を減らし、安心して生活することにつながります。体調をよく観察しながら「できること」を積み重ねていきましょう。

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