| テーマ | 心臓病の薬を知ろう! |
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| 講 師 | 近畿大学病院 薬剤部 岡本 卓也先生 |
| 開催日時 | 令和 7 年7月11日(金)午後2:00~3:30 |
【はじめに】
みなさまはお薬をしっかりと服用できていますか?どのような効果がある薬を服用していますか?なぜそのお薬が処方されていますか?処方されているお薬のことを理解して、きちんとお薬を使用していくことが「薬物治療」の一番のポイントです。
【心臓とは?】
心臓は全身に血液を送り出すポンプの役割をしています。一日中休むことなく動き続けており、全身に新鮮な酸素や栄養を含む血液を送り届けています。
【心筋梗塞ってなに?狭心症ってなに?治療のお薬は?】
心筋梗塞とは心臓の周りの血管、すなわち、冠動脈が完全に詰まる病気のことです。狭心症は一時的に血管が狭くなったりすることで胸の痛みなどが起こります。冠動脈が狭くなったりする原因の一つとして動脈硬化が関与しています。悪玉コレステロールの管理が重要ですので「脂質異常症治療薬」がよく処方されます。また、心筋梗塞・狭心症の手術後には血栓と呼ばれる血のかたまりができやすくなるため、「血をさらさらにする薬」が必須です。心筋梗塞・狭心症の手術後に必要となるのは主に「抗血小板薬」と呼ばれるお薬ですが、「抗凝固薬」と呼ばれる血をさらさらにするお薬もあります。抗血小板薬と抗凝固薬は病気の種類などによって使い分けられます。抗凝固薬の中には食べ合わせの悪いものがある薬もありますので注意が必要です。
【心不全ってなに?治療のお薬は?】
心不全とは心臓のポンプ機能が低下している状態のことをいいます。全身への血液のポンプ機能が低下することで、全身に水が溜まり、むくみや体重増加、息切れなど様々な症状が起こります。心不全の治療には「薬物治療」が非常に重要です。心不全増悪による再入院の原因の12%が「治療薬服用の不徹底」といわれています。ほかの原因には、塩分・水分制限の不徹底が33%、過労が11%、身体的・精神的ストレスが5%あるといわれています。患者さん自身が治療を理解し、気を付けることで心不全再入院を予防することができます。心不全治療のお薬はここ数年でアップデートされました。大きく分けると「心不全の症状をとってくれるお薬」、「心臓を守ってくれるお薬」の2つに分けられます。心不全の状態やお薬の副作用などにより、患者さんそれぞれで細やかなお薬の調整がされます。お薬を服用していて、なにか気になる症状があれば遠慮せず医師・薬剤師におっしゃってください。
【最後に】
お薬には飲み合わせの悪いお薬もあります。お薬の説明書やお薬手帳は持ち歩き、医療機関を受診する際には使っているお薬を伝えるようにしましょう。医師・薬剤師・看護師・栄養士・理学療法士、様々な医療スタッフがみなさまをサポートします。私たちと一緒に上手に心臓病と付き合っていきましょう。
