| テーマ | 左室補助人工心臓(LVAD)を用いた在宅医療 |
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| 講 師 | りょうハートクリニック 医院長 松浦 良平先生 |
| 開催日時 | 令和7年5月28日(水)2:00~3:30 |
今回は左室補助人工心臓(LVAD; left ventricular assist device)の在宅診療の現状・課題というテーマでお話させていただきました。LVADとは、心臓の機能が低下し、集中治療を要するような入院を繰り返す心不全患者さんを長期サポートするために、心臓の働きを補助する機械です。重症心不全の患者が心臓移植を受けるまでの橋渡し治療(BTT; Bridge-To-Transplant)や、長期在宅治療(DT; Destination Therapy)の患者さんが対象となります。
LVADの新規植え込み数は累積してきますし、移植待機期間も長くなっているため、LVAD植え込み患者はどんどん増加しております。特にDTは在宅療養を主目的としておりますので、今後ますますVAD症例が増加する中で、在宅医療の重要性・必要性はますます高まっていくと見込まれます。
そしてLVADには電源ケーブル(ドライブライン)貫通部の感染や脳合併症などのLVAD固有の問題や、認知症や悪性腫瘍などの高齢者特有の慢性的な合併症の問題もはらんでおり、QOLを保つために在宅医療がどのように関わっていくか、検討していかなければならないと考え、2023年の5月にクリニックを開設し在宅医療を開始しました。
訪問診療では月に1-2回の訪問を通じて心不全管理や貫通部の処置を行っております。症例によっては入院が必要となる場合もありますが、訪問診療を併用することで、患者および家族の精神的サポートにもなっていると思われます。
遠方患者への対応や在宅医療のデータ管理、終末期対応の具体策が今後の課題ですが、また、大学病院と地域医療機関との連携強化に向けたシステムの導入が進められており、在宅VAD患者を地域全体で支える体制の構築が期待されます。今回のお話が、重症心不全に対する治療と現状の課題に対する理解の一助となれば幸いです。
