テーマ | 在宅医療のABC ~知っておきたい基本知識~ |
---|---|
講 師 | 医療法人ミナテラス かすがいクリニック 理事長 大森 洋介先生 |
開催日時 | 令和 6 年5月20日(月)午後2:00~3:30 |
戦後の日本の高度成長期を支えてくださった“団塊の世代”が75歳以上の後期高齢者となられる時代を迎え、在宅医療が外来医療・入院医療とともに地域医療の重要な柱となってきています。
足の筋力が衰えてきた、病気が重症になってきた、認知機能が低下してきたなどの理由で、自分で容易に通院ができない患者さんが、在宅医療の対象になります。
在宅医療は、患者さんにとっては、
- 通院困難な患者さんでも治療が継続できる
- 住み慣れた生活の場で治療を受けることができる
- 心不全、末期癌など従来は入院治療が必要であった重症な病気でも診てもらえる
- 24時間365日、担当医あるいは担当クリニックに連絡がつく
などメリットが多数あり、今後も需要が増えることが予想されます。在宅医療では、高血圧・糖尿病・高脂血症・肺気腫などの慢性疾患に加えて、心不全・末期癌・パーキンソン病などの神経難病・肺炎・褥瘡(床ずれ)など多彩な疾患が治療対象となります。
一方で、医療機関側(医師側)にとっては、
- 多様な疾患に対応しなければならない(一人の患者さんが多様な疾患を抱えておられる)
- 在宅では患者さんのみならず、御家族・ケアマネージャーさん・訪問看護師さん・介護士さん・薬剤師さんなど多事業所をまとめる必要がある
- 医療保険制度だけではなく介護保険制度も熟知する必要がある
- 24時間365日の対応が求められている
などの要因で、在宅医療の必要性は理解しながらも、なかなか取り組みにくいのが現状です。以上のようなことから、私たちの“かすがいクリニック”では、複数医師(複数の専門性)・多業種(医師・看護師・理学療法士・事務スタッフ)でクリニックを、そして地域を継続的に支えようという取り組みを行っています。
在宅医療への橋渡しは、病院・診療所・ケアプランセンターが担っていることが多く、通院が難しくなってきたら、まずは病院担当医・地域のかかりつけ医・ケアマネージャーさんに相談してみてはいかがでしょうか?
自分らしく生きる、病気とうまく付き合うための手段の一つとして在宅医療があります。今回のお話が、皆さまが人生の岐路に立ったときの一助となれば幸いです。