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市民健康講座

第343回市民健康講座 (2022年3月11日)

テーマ「 体力をつけて健康長生き 」 心臓が悪いと長生きできない?それホント??
講 師大阪府済生会富田林病院 リハビリテーション科
 理学療法士  渡邉 明 先生
 作業療法士  島崎 寛将 先生
開催日時2022年(R4年)3月11日

 心臓が悪くても体力がしっかりあれば、健康な人と寿命が変わらないことをご存じでしょうか?
 健康で長生きできるかどうかの一番の要因は、実は「体力」なのです。体力のことを全身持久力や 心肺持久力、運動耐用能ともいいますが、どれくらい体力があるのかについては、「運動中の最大酸素摂取量」が一番正確な指標になります。長生きできるがどうかは、心臓の機能だけでは決まりません。心臓のポンプ機能と寿命との関連性は、意外にもそれほど高くないのです。
 では、酸素摂取量(体力)を向上させるにはどうしたらよいのでしょうか?酸素摂取量は、心肺機能だけに左右されるのではなく、実は「骨格筋(筋肉)での酸素を取り込む能力」が大きく影響しています。心臓が悪くても、筋力や筋持久力をつけて酸素を効率よく取り込めれば、最大酸素摂取量 (体力)を高めることができ、健康で長生きできることにつながります。
 しかしながら、リハビリで詳細に検査をしてみると、心臓はまだ余裕があるのに、足の筋力が弱いために最大酸素摂取量(体力)が低い方がとても多くいらっしゃいます。心臓が悪いからと安静に 過ごしているうちに、心臓よりも筋力が低下してしまっているのです。 皆さんも心臓が悪いから体力が低いと思い込んでいませんか?息切れの原因は筋力が低下しているからかもしれませんよ?筋力は年齢に関係なく改善できる可能性があります。最大酸素摂取量(体力)と強く関連する筋肉は、足の太ももの大腿四頭筋です。大腿四頭筋を鍛える一番効果的な方法はスクワットです。体力向上のために、ぜひスクワットを正しく行うように心掛けましょう。
 また、生活の中で運動を取り入れることも重要です。「買い物から帰ってくる際に早歩きをする」 など、運動機会を設けることが難しい方でも日常生活の中で運動要素を増やすことができます。ぜひ生活の中にある運動チャンスを見つけてみて下さい。
 今回は、体力をつけて健康で長生きするために有効な筋力トレーニングなどをお話しました。しかしながら、元々の心不全が進行し、重症化してしまうと、これらの有効な運動も取り組めなくなってしまいます。だからこそ、心臓病の再発や再入院をしないようにしっかり自己管理し、心不全を進行・重症化させないことにも注意しましょう。

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