2023年5月 ホームぺージをリニューアル致しました。

市民健康講座

第340回市民健康講座 (2021年9月17日)

テーマ心不全とおくすり・虚血性心疾患とおくすり
講 師大阪労災病院 薬剤部
 篠浦 千保 先生

 心不全は適切な治療により症状は改善しますが、多くの場合元通りの元気な心臓や身体機能にまで回復する事はありません。程度が軽くても「悪化⇔寛解」を繰り返す事で、心臓の働きは悪くなり、易疲労感、息切れ、浮腫など身体症状の程度も徐々に目立つようになります。無症状の期間を長くするためにもお薬は必須です。 心不全の症状を改善するお薬として利尿薬や強心薬、心臓を保護する薬(心保護薬)としてはリモデリング抑制を目的としてACE阻害薬やARB、またβ遮断薬があります。 心不全治療薬はここ数年大きな変化があり、糖尿病治療薬として販売された薬が追加されたり、新薬も去年、今年と2年連続で発売されています。 心筋梗塞や狭心症などの虚血性心疾患では、動脈硬化を予防する脂質異常改善薬や、血液をサラサラにする抗血小板薬、心不全治療薬と同様の心保護薬が主に用いられます。心保護薬は飲み続けることが心臓を長持ちさせることにつながります。血圧が低めであっても日常生活に支障が出ない程度であれば続けて服用して下さい。 お薬を正しく服用するために、自分が飲んでいる薬はどういう作用があるのか、決められた時間に決められた量で服用する理由、またなぜそのお薬が必要なのかを理解しましょう。食前・食間・食後にはそれぞれ意味があり、食事によって変化する胃の状態に合わせて服用時間が決められています。食直前や食直後、就寝前、起床時、厳密に時間指定される薬もあります。いずれにしても正しい飲み方をしないと効果がでなかったり、副作用が現れたりする事があるので、決められた時間を守りましょう。飲み忘れをしても2回分をまとめて飲むのは絶対にやめてください。また、血圧や血液検査の結果が正常でも、お薬は自己中断しないでください。心保護薬のように飲み続けることに意味がある薬もあります。お薬の管理が難しい場合は一包化や服薬ボックス、服薬カレンダー等を利用してください。 最後にお薬手帳ですが、「お薬の名前」、「服用するタイミング」、「量」が正しく記載されていることを確認してください。お薬の重複やお薬の同士の相互作用を防ぐためにも、例え目薬、塗り薬であったとしても、すべての情報を記載してください。 複数の医療機関を受診している場合でもお薬手帳は1冊にまとめ、正しく活用してください。困ったときは医師や薬剤師、周りの方に相談してください。 

  • 第340回市民健康講座 (2021年9月17日)_1