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市民健康講座

第304市民健康講座 (H26年5月23日)

テーマ日常診療でよく目にする不整脈とその治療法
講 師大阪市立大学大学院医学研究科 循環器内科学 講師  高木 雅彦先生
開催日時2014年(H26年)5月23日

 高齢社会を迎えたわが国において、生活習慣病や心疾患の早期発見のための健康診断が重要視されている。近年は健康診断で不整脈を指摘され受診されることが多い。不整脈といっても自覚症状は様々であり、またそのまま経過観察してもよい軽症のものから、緊急に治療を要する重症不整脈まで幅広い。
日常診療でもっとも目にする不整脈の1つに、心房細動がある。この不整脈は60歳を超えると 急激に増加し、脳梗塞をはじめとする全身性塞栓症を発症する可能性が高い不整脈である(心房細動のない人の3-5倍に発症)。心房細動が原因で生じる脳梗塞は、脳梗塞全体の1/3を占め、発症後は寝たきりや死亡する症例が約60%と重症である。特に75歳以上の方、高血圧や糖尿病、心疾患や塞栓症の既往のある方では脳梗塞の発症リスクが高くなることが知られており、脳梗塞をはじめとする全身性塞栓症を予防するために治療が必須となる。
 高齢者になると脈が遅くなる徐脈性の不整脈(洞不全症候群や房室ブロック)も多く見かけるようになる。めまい、ふらつき、目の前が真っ黒(真っ白)になる、失神するなどの症状がある場合は早急な治療が必要になるが、症状のない場合は精査を行い治療の適応を決定することになる。
 健康診断で指摘されることが多い不整脈として、期外収縮(心房性、心室性)がある。多くの場合は良性であるが、頻度が多くなると治療を要する場合がある。特に心室性期外収縮は1日の総心拍数の20%を超えると心臓の機能が低下してくることが知られており自覚症状が乏しくても治療が勧められる。まずは不整脈の頻度を調べるために24時間心電図記録を行うホルター心電図検査が 必要である。
 講演では不整脈が生じた際の症状や不整脈の見つけかた、日常診療でよく見かけるこれらの不整脈についてその治療の必要性と治療法について述べる。この講演を聴いて、日頃より検脈する習慣を身につけていただき、繰り返し脈の不整を認める場合、不整脈に伴う症状を自覚する場合は循環器専門医を受診していただき、治療の適応と考えられる不整脈に対しては、適切な治療を受けて
いただければ幸いである。

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