テーマ | 臓器提供・移植の現状 |
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講 師 | 公益社団法人 日本臓器移植ネットワーク 西日本支部 主席コーディネーター代理 中村 善保 先生 |
開催日時 | 2014年(H26年)3月26日 |
臓器提供には4つの権利(臓器を提供する権利・臓器を提供しない権利、移植を受ける権利・ 移植を受けない権利)があり、そのどれもが尊重されます。
2010年に臓器移植法が改正され、臓器提供意思表示カードなどの本人の書面による意思表示がなくても脳死下での臓器提供が行えるようになりましたが、それゆえに本人の意思がより大切になってきます。家族が臓器提供を決断するに際しては、本人の人柄やそれまでの生活観などを参考にする方も多く、元気な頃から臓器提供について家族で話し合っておくことも大切だと思われます。
移植コーディネーターは、今まさに家族を亡くそうとしている方と会い、死後の選択肢のひとつとしての臓器提供について話しますが、家族が臓器提供をする・しないの判断を後悔しないような関わりが大切であると考えています。
また、臓器提供施設も、本人やご家族の臓器提供意思をかなえるべく、日ごろから体制整備に取り組んでおり、臓器提供希望者が発生した際には、全力で施設をあげて臓器提供に対応します。
それにあわせて、臓器提供の最終目的である臓器移植についても、移植施設は24時間いつでも対応できるよう体制を整えており、移植でしか救われない方の医療として、日夜努力を惜しみません。
先進国の中で、日本は臓器提供をされる方の割合が世界と比べ極端に少ないのが現状ですが、
その尊い意思を生かすべく高い移植技術を維持しており、お一人の臓器提供から多くの方が救われているのが現状です。その高い技術を移植者につなげるために、臓器を搬送する際には、消防や警察、航空会社や空港、公共交通機関などの協力も必須であり、そういった意味でも日本では臓器提供は馴染みの医療にはなっておらず、「特別の医療」と言わざるを得ません。今後、少しでも一般の医療に近づき、臓器を提供したい人、臓器の移植を受けたい人がより希望に添えるような医療体制の構築が、移植医療に携わるものや我々コーディネーターに課せられた課題であると考えます。